2024.06.21 16:00Main2-13:見た事のない顔「…昨晩、イシュガルドの監獄から脱獄した犯罪者が1人出たらしい。しかも、その犯罪者は……以前、お前を痛めつけた人攫いの一味だ」グシャッと紙を握りしめながらそう言ったヴァルの表情は険しいものだった。とある昼下がり。各々がやるべき事を一段落させて落ち着いていたその日、ガウラとヴァルはアフタヌーンティーを楽しんでいた。そんな中やって来たザナの鷹...
2024.05.21 07:00Main2-12:受け継ぐ『ガウラ』「なんだい?ニア」静まった夜に現れたのは、始祖ニア。気配に気づいたガウラはそっと彼女の元へ近づいた。『貴女に、私の魔力を授けたいのです。貴女はゾディアークとの闘いにて、魔力の扱い方を思い出した。いつかの儀式により記憶が刺激され、少しずつ思い出していたのです。思い出したのであれば、きっと私の魔力を受けても問題ないはず。今の貴女には...
2023.01.30 00:00Extra22:こうして足は止まったそれは突然やってきた。思うように足が動かない、何かを置いてきた気分。「はぁー……」ため息しか出ない。原因なんて分かるものか。ただ、[旅に疲れた]ことだけは理解できた。これは休んだ方がいい。(家も近いし帰ってもいいんだけど…、何となく気が重いな。ヴァルにもなんか言われるんだろうな…)モヤモヤする。外の景色も街の匂いも、いつもなら楽しめるもの...
2022.09.30 04:00Extra21:エターナルリング「危ない!」その声と同時に頭の横を魔法が通る。黒魔道士のブリザジャは太陽の光に反射した。その眩しさと横切った魔法により目が霞む。(チカチカする)その様子を好機とした黒魔道士はソウルレゾナンスを発動し畳み掛ける。逃げ場を失ったガウラは為す術なく傷を負った。ここはオンサル・ハカイル。終節線の行われる場所、無垢の土地を奪い合い、対人が絶えない場...
2022.08.30 04:30Extra20:過去を知る夜な夜な記録を漁るジシャ。ヴィラの行動により黒き一族が掟の改定を始める中、ジシャは白き一族として行動を始めたのだ。それは始祖であるニアのルーツを知り、最終目的である[術式の解除方法]を見つけることだった。始祖は自分の膨大な力を恐れ、その力の一部に枷をつけ封じることで事を収束させた。だがその術式さえも力は強く、根付いたそれは結果的に後世へ継...
2022.08.26 06:30Extra19:使命に関係なく、共に居たいと思ったから恋愛感情なんて持つことなく人生を終えると思っていた。それは冒険者だからとかそういうものではなく、純粋にそう思って決めつけていた。「あたい…いや、"オレ"は、お前を1人の女性として、恋愛対象として好きなんだ」だから、そう言われた時に「こいつは何を言ってるんだ」と思った。ヴァルは黒き一族で、白き一族であるガウラを護る宿命と使命を持ってここに来...
2022.05.14 08:20Main2-11:正解のない道を聞く住む者が違えば、文化も変わり、私も知らない価値観へと変わる。それを見事に体現してくれたのは、目の前の小さなうさぎ(レポリット)だった。レポリットの知る[人間]は、古代人。大きな身体、全身を覆う様な長いローブを着るあの古代人だ。彼らはアーテリスからの避難民も[そういう人たちが来る]と解釈してしまい、全てに施設にあらゆる動植物をその基準で考え...
2022.05.10 07:30Extra18:Oración人には語れぬものがある。それはヴァル自身も体現しているし、意味も分かる。そして余程のことがない限り、踏み込んではいけない領域でもある。ここはダーンバレン農園。双蛇党が家主の遺言に従い保護した農園のひとつである。園芸師ギルドに管理を任せているため、今も変わらず深紅の林檎を実らせているそうだ。農園の一角にはログハウスが建てられており、そこは現...
2022.04.19 08:30Main2-10:振り回されていた魂(こころ)が、ようやく目を向けてくれた暁は、英雄が居ないことに気がついた。騒動がひと段落したことで、ようやくそのことに辿り着いたのだ。と言ってもどうやら心配する程でもなく、遠くから英雄の姿が見えた。ただし、ヤ・シュトラとアリスだけは、違和感を覚えていた。アリゼーとグ・ラハは気にせず英雄に近寄る。英雄が、どれ程信頼され頼られているのか、この行動1つでもよく分かる。「あんた、誰だ...
2022.04.18 09:00Main2-9:先逝く命を道にしてイルサバード派遣団が結成された。各国が勢揃いし、イルサバードにあるガレマルドに調査をしに行く者たちだ。勿論塔の調査もあるのだが、ガレマルドに未だ残っているであろう人々を救援、保護をする事も目的としている。各国からは精鋭が集った。見覚えのある人も多い。「マジかよ……豪華勢ぞろい………!!」英雄譚を読み漁り、英雄に憧れを持つグ・ラハはそう呟い...
2022.04.15 08:00Extra17:未来を見据える言葉は重く、静かに響いた何かが近づいてくる、静かでいて、懐かしさを感じる気配。「ジシャ、いるかい?」私が顔を出すより前に、気配の正体が声を発した。家から出てみると、黒き一族のヴィラがいた。彼女は私を護る者。11年も前、私が記録上死んだことにより、役目を終え新たな責に務めていると聞いている。それでも彼女は一族の者として、こうして私を気にかけてくれる。と言っても今日...
2022.04.14 09:40Main2-8:目覚めた力怒りを覚えた。僅かに手が届かなかった自分に…生きる者などただの道具だとでも言うように、嘲笑う相手に。ただ、だからと言って1人で立ち向かうような無脳な行為はできない。必要な撤退と判断し、状況を説明するべくガウラは一度塔の外へ出た。─────ゾットの塔。そう名付けられた禍々しい建造物を目の前に、ガウラは1つ息を吐く。そんな様子を遠目から見てい...