Extra15:賑やかな星芒祭

「スターライト・セレブレーション!」
「わぁ!?」
「やっほーガウラ!
星芒祭よ!」

アリスのFCハウスがあるミスト・ヴィレッジで、庭に積もった雪をかき集めていると、元気な声が響いた。
ちなみに家主は今用事で出かけており、昼過ぎに帰ってくるそうだ。
元気な声を出したのはナキ、相変わらずの元気良さだ。

「よくここを覚えていたなぁ?」
「ふふふ、ナキは地図を覚えるのが大得意なのよ!」
「なるほどね?
それで、今日はどうしたんだい?」

雪かきしていた手を止め、問うてみる。

「せっかくの星芒祭だから、お祝いしたいなぁって思ったの。
タタルちゃんにガウラの居場所を聞いたら、ここだって言われたから飛んできちゃった!」
「タタル…あの人の情報網はどうなってるんだ…。
来てくれたのは嬉しいんだけど、私は何も用意してないぞ?」
「いいよいいよ〜!
雪かきもまだ終わってないんでしょう?」
「そうだな、あとはあの一角だけだよ。
昼過ぎにはアリスも帰ってくるぞ」
「そうなの?
じゃぁ、ナキはキッチン借りてもいいかな?
クリスマスランチ、作ってあげる!」
「本当かい?
朝に私が借りるとは伝えたけど、代わりに作ってくれるなら有難い!」
「まっかせて!」

ウキウキした様子で話が進む。
一旦共に家に入りキッチン周りの説明をした後、ガウラは雪かきを再開しに庭へ向かった。
ナキは料理も得意だ、いったいどんなランチになるのか楽しみだ。

─────

時刻は13:00前。
ガウラは雪かきを終え、ボロボロになっていた木人の修復をしていた。
テレポの音が聞こえたので振り返ってみると、アリスがいた。

「義姉さん、ただいま戻りました!」
「やぁおかえり、アリス」
「何してるんです?」
「木人が壊れそうだったからね、軽く修復中だよ。
といっても材質的に限界なんだろう…新調したほうがいいかもしれないな?」
「そうですか…考えとかなきゃ。
……?」

アリスの鼻がすんと動く。

「なんか、いい匂いしますね」
「あぁ、ナキだよ。
雪かき中にやって来てね、星芒祭のお祝いしたいんだとさ。
ランチを作ってくれると言ってくれたものだから、キッチンを貸したんだけどよかったかい?」
「ナキちゃんが!?
彼女なら貸しても大丈夫でしょう!」
「ならよかった。
そろそろ入ろうか、いい匂いがしてるってことは出来上がりも近いんだろうさ」

木人を片し、2人は家に入った。
家の中は既にランチのいい匂いが。
チキンの匂い?パンの匂いもする気がする。
地下にあるリビングに向かうと、机の上にはたくさんの料理が並んでいた。

「わぁ……」
「あ、アリスくん、こんにちは!
キッチン借りてまーす!」
「こんにちはナキちゃん!
料理作ってくれてありがとうございます!」
「ふふふ〜」
「私に任せなくてよかったな?」

にやりとした顔でそういうガウラ。
ガウラもアリスと同様に料理のレパートリーが少ないタイプなのだ。

─────

「あ、そうそうアリスくんにはプレゼントがあるんだぁ」
食事もほとんどなくなった頃にナキがそう言った。
「プレゼント?」

アリスはきょとんとする。
会う機会が増えたとはいえガウラとナキほどの関係ではないアリス、何をくれるのかが想像できない。

「ちょっと待ってね〜…どれだったかなぁ…」
すっと立ち上がり鞄を漁るナキ。
取り出したのは小さな箱。

「スターライト・セレブレーション〜!
はい、ナキサンタからのプレゼント!」
「ありがとうございます!
開けてもいいですか?」
「どうぞどうぞ!」

アリスは箱を開けて中身を見る。
中に入っていたのはリンクシェルに似たものだった。

「おや、リンクパールかい?」
「リンクパール?」
「そう!
…ようこそ暁の血盟へ!
それ、支給し忘れてたらしくてね?」
「ん??
ちょっと待ってなんでナキちゃんが知ってるんだ!?」

つい先日暁の血盟に入ったアリス。
いくら砂の家拠点のナキでさえ、情報を貰うのは数日後だろうと思っていた。
リンクパールというのは、暁の血盟が加入時に支給されるものの1つ。
メンバー全員の連絡先が既に登録されているのだ。

「……もしかして、タタルかい?」
「正解!」
「タタルさんの情報網、どうなってるんですか…」

どうも相性のいいらしいタタルとナキ。
日頃、互いの拠点の報告をしあっているとはいえ、こうも仲がいいと裏でどういう情報が出ているのか恐ろしく思う。

「それには暁の血盟みんなの連絡先があるから、なくさないようにね!
もちろん、ナキの連絡先も入っているよ〜」
「私の連絡先も入っているはずだ」
「ほほ〜…ありがとうございます!」
「あ、ガウラにはこれねぇ?」
「これは?」

ガウラには縦長の小さな箱が渡された。
開けてみると、三日月のシルバーアクセに夜のような青い輝きを持つクリスタルがついたイヤリングだった。

「メネフィナイヤリングだよ!
メネフィナ様の祈りも込められてるから、使ってあげてね!」
「ありがとう、大事に使わせてもらうよ!」

各々談笑をしながら頂いたプレゼントを身につけたりした。

─────

「あ、もうこんな時間なのね?
ウルダハ行きの飛空挺が夕方に出ちゃうから、ナキはそろそろ行くね!」
「ありがとう、また会おう!」
「また遊びに来てください!」
「うんうん!
…あ、ナキの欲しいものはクガネ産の茶葉ね!
砂の家の皆が気に入ってるらしいの!」
「あぁ分かったよ、お礼に送らせてもらう」
「ありがとう〜!
またね!」

そうして嵐のように去っていったナキ。
アリスも彼女と多く話せた上に砂の家のことも知れたようでよかったみたいだ。

「さ、私はクガネに行こうかね」
「今からですか!?」
「なぁに、すぐに手に入るさ!」

そう言いながらガウラはクガネへ向かった。
今年の星芒祭は賑やかで楽しい日となった。

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