2022.04.19 08:30Main2-10:振り回されていた魂(こころ)が、ようやく目を向けてくれた暁は、英雄が居ないことに気がついた。騒動がひと段落したことで、ようやくそのことに辿り着いたのだ。と言ってもどうやら心配する程でもなく、遠くから英雄の姿が見えた。ただし、ヤ・シュトラとアリスだけは、違和感を覚えていた。アリゼーとグ・ラハは気にせず英雄に近寄る。英雄が、どれ程信頼され頼られているのか、この行動1つでもよく分かる。「あんた、誰だ...
2022.04.18 09:00Main2-9:先逝く命を道にしてイルサバード派遣団が結成された。各国が勢揃いし、イルサバードにあるガレマルドに調査をしに行く者たちだ。勿論塔の調査もあるのだが、ガレマルドに未だ残っているであろう人々を救援、保護をする事も目的としている。各国からは精鋭が集った。見覚えのある人も多い。「マジかよ……豪華勢ぞろい………!!」英雄譚を読み漁り、英雄に憧れを持つグ・ラハはそう呟い...
2022.04.15 08:00Extra17:未来を見据える言葉は重く、静かに響いた何かが近づいてくる、静かでいて、懐かしさを感じる気配。「ジシャ、いるかい?」私が顔を出すより前に、気配の正体が声を発した。家から出てみると、黒き一族のヴィラがいた。彼女は私を護る者。11年も前、私が記録上死んだことにより、役目を終え新たな責に務めていると聞いている。それでも彼女は一族の者として、こうして私を気にかけてくれる。と言っても今日...
2022.04.14 09:40Main2-8:目覚めた力怒りを覚えた。僅かに手が届かなかった自分に…生きる者などただの道具だとでも言うように、嘲笑う相手に。ただ、だからと言って1人で立ち向かうような無脳な行為はできない。必要な撤退と判断し、状況を説明するべくガウラは一度塔の外へ出た。─────ゾットの塔。そう名付けられた禍々しい建造物を目の前に、ガウラは1つ息を吐く。そんな様子を遠目から見てい...